2012年5月31日木曜日

ストックホルムのチャリティ自動販売機

ストックホルム地下鉄の中央駅、T-Centralen駅を出たところに、セルゲル広場(Sergels torg/セルゲルス・トリィ)と呼ばれる広場があります。その広場に面したところに建つのがカルチャーハウス(Kulturhuset/クルテュールフーセット)です。このカルチャーハウスではエキシビジョンやコンサートが開催されたり、主に子どもたちを対象とした課外活動などが行なわれており、図書館やカフェなども併設されています。


このカルチャーハウスに現在、設置されているのがAUTO:MAT(アウト:マート)という名前のちょっと変わった自動販売機です。automatとはスウェーデン語で「自動装置」という意味、matは「食べ物」という意味で、その2つを掛け合わせてAUTO:MATと名付けられたこの自動販売機は、物を売るだけでなく、その売り上げが様々な慈善団体などに寄付されるというコンセプトを持っています。

デコ自販機 AUTO:MAT


細部まで全て手描き!

気になる商品と募金先の例は、中国産のヒマワリの種やグミは人権擁護団体アムネスティへ、インド産のレンズ豆スナックはインド、バングラデシュの貧民層を支える団体へ、ロシア産のチョコレートはロシアの恵まれない子どもたちへ、などです。食べ物だけでなくCD、ぬいぐるみや、南アフリカの女性たちによって作られたアクセサリーなども売られています。

AUTO:MATの商品


ぬいぐるみは99kr


ちなみに、こちらが普通の自動販売機。ドリンクだけでなくスナックやチョコレートなども売られています。お金は入れたけど商品が出てこない、なんてこともあるそうなので、わたしはほとんど利用した事はありませんが、逆にお金を入れてないのに、ボタンを押したらどんどん商品が出てきた 、という話しも聞いたことがあります。



AUTO:MATは7月4日までカルチャーハウスの1階入り口そばに設置される予定です。







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2012年5月28日月曜日

リサ・ラーソン(Lisa Larson)50周年記念エキシビジョン

今から50年前の1962年に、スウェーデンの老舗デパートNKにてリサ・ラーソン初の個展が開催されました。

50年前にNKデパートにて開かれたリサ・ラーソンの個展の様子


その初の個展から今年で50年。そして5/25から、その50周年を記念して「リサ・ラーソン50周年記念エキシビジョン」が同じNKデパートにて催されています。


そのエキシビジョン開催に先駆け、初日25日の朝、プレスを招いての朝食会へ参加してきました。

会場にはABCガールズ(ABC-Flickorna)や、リラ・ズーシリーズ(Lilla Zoo)、ストーラ・ズーシリーズ(Stora Zoo)、ラーソンの子供たち(Larsons Ungar)などリサの50年代から70年代までの代表的な作品が年代ごとに展示されており、その他テキスタイルメーカーのユングベリ(Ljungbergs)とコラボレーションをしたリサのテキスタイルを始め、最新のリサの商品も展示、販売されています。














プレス朝食会では、サンドイッチやコーヒー、そしてシャンパンまで振る舞われる中、リサ・ラーソン本人によるプレゼンテーションがありました。そのプレゼンの中では昔の興味深いお話などを聞くこともでき、朝から有意義な時間を過ごすことができました。

リサ・ラーソン






リラ・ズーやストーラ・ズーシリーズをはじめ、リサと言えばネコがとても有名ですね。リサの話によると学生時代からとにかくネコが好きだったそうで、そのためネコをモデルにした作品をその頃から頻繁に作っていたとのこと。そういう過程を経て、あの愛らしいネコたちができあがったそう。制作にいたるまでの話を聞くと、よりリサのネコたちに愛着が湧いてきます。


また60年代の頃の作品について司会者より尋ねられたリサは、「60年代は3人子供をつくったのよ!」とリサ自身のプライベートの話をして、参加者の笑いを誘っていました。
プレス朝食会当日に会場に来ていたそのリサの子供たちも、現在では家族ができ、それぞれアーティストとして活躍中です。
1961年に発表された「ラーソンの子供たち」は、彼女自身の子供からインスピレーションを得て作られた作品だそうです。


近年の日本での人気についてリサ自身はどう思うかという質問に、「日本人のかわいいという感覚とマッチしたんじゃないかしら」と照れながら答えているリサ。今年81歳になるとは思えないほど可愛らしく、チャーミングな笑顔を見せていました。

リサのプレゼンテーション後には、シャンパンを飲みつつ参加者やリサ本人とも個人的にお話する時間がとれたため、リサに色々と個人的にお話を聞いてみました。その際に、当時経営が厳しくなっていたグスタフスベリの陶芸スタジオが、日本でリサの人気が出たおかげで再び活気を取り戻すことができたそうです。このお話を聞くことができて、日本人である私たちもとても嬉しい気持ちになりました。
またリサは家族をとても愛しており、リサの夫は画家、そして3人の子供たちもそれぞれ芸術の道へ進んでいることを大変誇りに思っていることを嬉しそうにお話していました。

リサ&リサの子供たちとその家族

世界中で陶芸家として有名なリサ。それにも関わらずいつも笑顔で誰とでも気さくに接するリサの素敵な人柄が彼女の作品にもよく表れており、それが長年にわたって多くの人に愛される理由のひとつなのではないかと改めて感じました。





このリサ・ラーソンの50周年記念エキシビジョンは、6/1までNKデパートのエントランスホールにて開催中です。


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2012年5月23日水曜日

エステル王女の洗礼式

5月22日にスウェーデン王室のエステル王女(Prinsessan Estelle)の洗礼式が王宮内の教会で行なわれました。

METROより

エステル王女は今年の2月23日に誕生したヴィクトリア王太子の第一子です。スウェーデンでは性別に関わらず直系の子孫に年長者優先で王位が継承されるため、現時点でエステル王女はスウェーデン王位継承順位は第2位となります。

洗礼式の当日は朝早くから新聞社により王宮の近くでケーキがふるまわれたり、市内の公園で子どもたちを集めて、中継を見ながらのパーティーが開かれたりと、お祝いムードに包まれていました。

厳粛な雰囲気の中、行なわれていた洗礼でしたが、途中で大きなあくびをするエステル王女に母親であるヴィクトリア王太子も苦笑い。

EXPRESSENより

スウェーデンの新聞、SVENSKA DAGBLADETによると、現在ストックホルム県(Stockholm län)で洗礼を受ける子どもは全体の42%で、ストックホルム市内では37%だそうです。現在では宗教に縛られたくないという思いから、あえて洗礼を受けさせなかったり、子どもに洗礼を受けさせる人々も、宗教的な理由から、というよりは伝統や習慣として、また、祖父母など年配の親戚のために行なうといった人が多いようです。

わたしも、一度だけスウェーデンの洗礼式に参列したことがあるのですが、赤ちゃんの両親であるカップルが結婚式を挙げた教会で、なごやかな雰囲気の中で行なわれました。式の後は教会内の一室で軽食やお菓子がふるまわれ、赤ちゃんのお披露目会といった感じでとても楽しかったです。


ところで、今回のエステル王女の洗礼に際して、スウェーデンのケーキ屋やベーカリーではエステルトータン(Estelle-tårtan)が5月中、販売されるそうです。(tårta/トータはスウェーデン語でケーキの意味)
スウェーデンの誕生日などのお祝いに欠かせないのが緑色のマジパンに包まれたプリンセストータ(Prinsesstårta)。

ストックホルムの老舗Tösseのprinsesstårta

このプリンセストータのスペシャル・バージョンが、ピンクのマジパンに包まれ、王冠がのせられたエステルトータンです。

allt om mat.seより

このエステルトータン、1つにつき10kr(約110円)が、スウェーデンの障害や慢性的な持病を抱える子どもたちをサポートするヴィクトリア財団に寄付されます。洗礼式でお祭り騒ぎをするだけでなく、こういうところがさすが、スウェーデンらしいですよね。







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2012年5月18日金曜日

2012年 Konstfack(スウェーデン国立美術工芸大学)卒業制作展

5/16から5/27までKonstfack(スウェーデン国立美術工芸大学)にて卒業制作展が開催されています。

コンストファックは1844年に創立され、スウェーデンでは最大規模の美術大学です。美術、イラストレーション、陶芸、グラフィックデザイン、テキスタイル、ガラス、彫金、アニメーションなど様々な専攻があり、多くのスウェーデンの有名アーティーストを輩出している大学として定評があります。

多くの日本人にも愛されているStig Lindberg(スティーグ・リンドベリ)もコンストファックの出身で、卒業後には先生として教えていた経験もあります。

スウェーデンの児童文学でとても有名なElsa Beskow(エルサ・ベスコフ)もコンストファック出身です。彼女の代表作には、ちいさなちいさなおばあちゃん(原題:Sagan om den lilla lilla gumman)や、みどりおばさん、ちゃいろおばさん、むらさきおばさん(原題:Tant Grön, Tant Brun och Tant Gredelin)などがあります。


また現代美術家のJockum Nordström(ヨックム・ノードストリューム)も卒業生のひとりです。
彼はストックホルムのおしゃれレストランRichのメニューにイラストを描いていたり、また絵本セーラとペッカシリーズ(原題:Sellor och Pekka)は、子供から大人まで楽しめる作品として日本でも多くの人々に愛読されています。



そして、スウェーデンのテキスタイルの世界で伝説となっているテキスタイルデザイナーAstrid Sampe(アストリッド・サンペ)もコンストファックでテキスタイルを学んだひとり。
50年代に精力的に活躍してたアストリッド・サンペ。テキスタイルメーカーAlmedahls(アルメダールス)が彼女の作品を復刻させたことで、現在でも彼女のテキスタイルは世界的にも有名です。


またアストリッド・サンペが、1955年に開催された「H55」にて発表したキッチンタオルやリネンのデザインは、H55開催から50年以上たつ現在でも多くの人々に愛され使用されています。
※「H55」とは、1955年にヘルシンボリで開かれたデザイン博覧会のこと。北欧の優れたモダンデザインが世界中に認められるようになったという重要な催しでした。

その他、家具、インダストリアルデザイナーとして世界的に有名なJonas Bohlin(ヨナス・ボリーン)をはじめ、コンストファック出身の活躍しているアーティストをあげていくと、きりがありません。


さて、前置きが長くなってしまいましたが、その多くの有能なアーティストを育てたコンストファックの卒業制作展、初日の16日、早速展示を見に行って来ました。
会場内は子供から大人まで、本当にたくさんの来場者で盛り上がっていました。

展示作品の中から少しご紹介。






















こちらは友人マーティンの作品。コーヒーテーブルや椅子として使用できる家具で、使用していくうちにイラストが浮き出てくるそうです。



このテキスタイルは、日本人の赤羽美和さんの作品。






この掃除機は本当に欲しい!掃除機ってなかなか素敵なデザインのものに出会えないですよね。




















イラスト、カーペット、陶器、アクセサリー、そして家具やプロダクトにテキスタイルまでと、今後このスウェーデンでアーティストとして活躍していくだろうと思われる生徒たちの様々な作品を見ることができ、とてもいい刺激をもらうことができました。




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